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愛着の芽生え 「私は抱かれて育たなかったので、自分の子どもが抱けないのです」。愛着の絆に付いて講演すると、必ず一人か二人のお母さん方から、このような悲痛な声を聞きます。なんという悲劇でしょう。このお母さんの子ども達も、このまま成人すると、やはり子どもが抱けない親になってしまうのです。 このような悪循環を作ったのは、倭国が第二次世界大戦に負けて、進駐軍と共に入ってきた様々なアメリカの風習を、吟味せず取り入れたことから始まります。それまでの倭国の子育ては、乳児が抱かれるかおぶさるかして、母親またはその代理となるおばあちゃんやお姉ちゃんと一日中ぴったりと一体となっていることから出発しました。 そしてこの一体感から、赤ちゃんは「守られている」という安心感と満足感を得ることが出来、赤ちゃんに母乳を含ませたりオムツを代えたりするたびに親は大変でも「可愛いね、守ってあげようね」という気持ちが深まり、誰も「愛着の絆」の勉強などしなくても、子ども達は安定した愛着関係の中ですくすくと健全に育って行ったのでした。 それなのにです。1945年当時アメリカではやっていた「行動派」の子育て方法、それは「赤ちゃんは抱くと甘やかすことになる。哺乳も出来るだけ母乳でなく、時間でミルクを与えるように」などという、間違ったアイディアが新しい進歩的なものとして倭国に取り入れられ、アメリカでその過ちが分かった1960年以降でも、倭国では「抱き癖」という言葉として一般化されてしまいました。これが現在の子育ての危機と、増加してやまない児童虐待と放置の原因であると私は確信しています。 (次ページへ) |
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